もくじ
労働生産性をアップさせるのは2つ
「なるべく少ない労力で効率よく仕事をしたい」
「仕事へのモチベーションを上げて、生産性を高めたい」
「テレワークが普及してひとり一人の生産性がはっきりわかるようになった、だから生産性を改めて意識している」
など、時代の変化によって以前に比べて労働生産性がクローズアップされています。
そんな中
「どうしたら、生産性を上げられるのだろうか」
「そもそも、生産性って明確にできるの?」
「どの階層から底上げすると効率がいいのか」などまだまだ未知のことが多いのも事実です。
そこで、今回は生産性とは何かをわかりやすく解説し、
生産性向上のためにすべき具体的な方策を
1 業務効率のアップ
2 付加価値のアップ
という観点から示したいと思います。
これがわかれば、明日から会社で、あるいは企業で生産性をアップする第一歩が踏み出せるようになります。
そして、質の良い商品、サービスを生み出し、やりがいを感じられるような仕事への取り組みができるようになると思います!
労働生産性とは何か
労働生産性をシンプルに表すと
労働生産性= アウトプット(成果)÷ インプット(労働者数✖️ 労働時間)です。
この時、成果を生産量で表す場合には「物的労働生産性」といい 一方で成果を「売上ー経費・材料費など経費」 とする場合には、「付加価値労働生産性」と呼びます。
いずれにせよ、 つまり、労働者数や労働時間が増えれば増えるほど、生産性は低くなります。
逆に同じ労働者数や労働時間で成果が増えれば生産性は高くなります
日本で労働生産性が求められるようになった背景
日本で労働生産性が求められるようになった背景には、いくつかの要因があります。
以下にいくつかの主な要因を挙げます。
人口構造の変化:
日本は高齢化社会を迎えており、労働力人口の減少が進んでいます。
これにより、労働力の数が減少する一方で、高齢者の人口が増加し、生産年齢人口あたりの負担が増えています。
このような状況下では、限られた労働力をより効率的に活用する必要性が高まり、労働生産性の向上が求められるようになりました。
国際競争力の低下:
日本の経済競争力の低下も、労働生産性の重要性を浮き彫りにしました。(世界ランキング OECD加盟38カ国中27位)
日本の一部の産業や企業が国際競争で苦戦していることがあり、その一因として生産性の低さが指摘されてきました。
他の国や地域と比較して、日本の労働生産性が劣っている場合、競争力の向上のために改善が求められています。
労働時間の長さと働き方改革:
長時間労働が一般的であるとされてきた日本では、働き方改革が重要なテーマとなりました。
過労死や健康問題の増加、ワーク・ライフ・バランスの改善の必要性などが浮き彫りになり、労働生産性の向上と労働環境の改善の両方が求められるようになりました。
AIとデジタル化の進展:
AIやデジタル化の進展は、労働生産性向上の可能性を広げる要因となりました。
これらの技術革新で労働プロセスや業務の効率化が進み、生産性向上の機会が生まれています。
以上のような世の中の流れにより、労働生産性の向上は各企業にとって避けては通れないものとなっています。
企業の利益にとっても、従業員の仕事でのやりがいにおいてもとても重要であり、みんなが取り組むべきことであるでしょう
労働生産性向上によるメリットとは
さて、改めて企業にとって労働生産性の向上はどんなメリットがあるでしょうか。 いくつかご紹介します。
1 売上・利益増加:
労働生産性の向上は、経済成長の促進につながります。生産性が向上すると、同じ時間や労力でより多くの商品やサービスを生み出すことができるため、売上・利益が増加します。
2 競争力の向上:
労働生産性の向上は企業や産業の競争力を高めます。生産性が高い企業は、同じ品質の商品やサービスをより効率的に提供することができるため、市場での競争において優位に立つことができます。
3 賃金の向上:
労働生産性の向上は、労働者の賃金水準にも影響を与えます。生産性が高まると、 企業はより多くの付加価値を生み出すことができるため、その一部を労働者に還元することができます。 したがって、労働者の賃金が向上する可能性があります。
4 労働時間の短縮:
労働生産性の向上によって、同じ成果を達成するために必要な労働時間が減少することがあります。これにより、労働者はより効率的に仕事をこなすことができ、より多くの自由な時間を得ることができます。
5 技術革新の促進:
労働生産性の向上は、新たな技術やイノベーションの促進にも寄与します。 生産性が低い状態では、企業や組織は改善の余地があることに気づ く余裕がなくイノベーションが進みません。 しかし、生産性の向上によって改善点に気づき、改善できます。そして技術革新が進むことが期待されます。
労働生産性の向上のための方法
ではどうしたら、労働生産性が向上するのかその具体的な方法を紹介してきましょう。
まず、労働生産性を上げるためには、2つの側面があります。
1 業務の効率化
2 付加価値の向上 です。
業務の効率化とは「今までの業務内容の効率を見直し、改善をすること」です。
一方、付加価値の向上とは、「アウトプットの方を増やして結果、労働生産性を上げる」と言うことです。
業務の効率化を企業としてできること
では、企業と個人に分けてまず業務の効率化のための施策を考えてみましょう。
業務プロセスの改善と自動化:
既存の業務プロセスを見直し、効率的な方法を見つけることが重要です。
そのために、業務のプロセスの流れ(プロセスフローチャート)を書き出します。そして、そのステップを明確にしてステップごとに実行者や必要な情報、手順、条件などを記載します。
プロセスに関与する関係者を特定します。
これらを洗い出し、改善ポイントを探ります。
改善ポイントが出たら、自動化できるものはないか、自動化するのであればどのようなシステムがあるのかを検討します。
コミュニケーションの改善:
コミュニケーション力や人間関係の改善によって生産性が向上することが、 ホーソン生産性の「バンク配線作業実験」からわかっています。では、その内容をかいつまんでご紹介しましょう。
実験の目的は「集団での作業に人間関係が影響するか」という調査です。
この実験の目的は職種ごとに、配線、ハンダ付け、検査のグループに分けて、電話交換機(バンク)の配線作業を共同で行わせ成果を調べました。
その結果、以下のことがわかりました。
・労働者は場面に応じて労働量を調整している。
・生産性は労働者の能力よりも意識に左右される。
・上司と良好な人間関係を築いている方がミスが少ない
つまり、「生産性は自分の意識でコントロールでき、特に良い人間関係がある環境では生産性が高くなる」ということです。
この他結果への報酬などよりも、人間関係の方が影響を与えていたそうです。
ですから、日頃のコミュニケーションを改善して、より良い人間関係を築くことがとても大事になります。
具体的な取り組みとしては
✔︎ コミュニケーションは大事である、という認識を共有する
✔︎ 1on1ミーティングの導入
✔︎ 休憩時間などの雑談
✔︎感謝の言葉を伝える
などが考えられます。
このようなブログ記事もご参照してください。
「コミュ力が高い人の特徴6個をわかりやすく解説」 https://www.com-ken.com/komyuryokutakai/
スキルと能力の向上:
従業員のスキルや能力向上は、業務の効率化につながる重要な要素です。
継続的な教育やトレーニングプログラムの提供を通じて、従業員の専門知識や業務スキルを向上させることができます。
また、各々がチームメンバーの適材適所の配置や業務の専門化も効率化に寄与します。
外部リソースの活用:
業務の一部を外部にアウトソーシングすることも効率化の手段の一つです。
特定の業務領域を専門的に扱う外部パートナーを活用して効率を図ります。
一方で外注費がかかるので、この場合には総合的に見て、費用対効果があるかを見極める必要があります。
業務効率を向上するために個人ですべきこと
個人で効率を良くすることを考える時、上にあげた企業での効率化の方法を 個人にも当てはめて
✔︎業務プロセスの改善と自動化
✔︎コミュニケーション力を向上
✔︎スキルの向上
✔︎人間関係を良くする
などを個人ですることになります。
これとは別の角度から個人における、業務効率化のための 取り組みを紹介したいと思います。
特に健康状態を良好に保つ方法をご紹介していきます。
なぜなら、健康状態があまり良くない場合には、 集中力が落ちていることが実感できると思います。
例えば、
日本の国民の3割くらいが罹っているといわれている スギ花粉症。
これは体験的にもわかりますが、花粉症で大変調子が悪い時は集中力が落ちます。 やる気も落ちています。
このような理由から、個人の生産性アップのためには健康状態の維持はとても重要なのです 特に健康であるために、そして仕事での生産性を上げるためのポイントを4点紹介します。
1 十分な睡眠時間を確保する
睡眠不足によって認知能力が低下することがテストからわかっています。
その結果、何かを決定・決断する力や問題解決、記憶などの能力が低下します。
これはそれらの能力をつかさどる前頭葉と頭頂葉の活動が減るからです。
これでミスが増え、間違った選択をしてしまうことが多くなると予想できます。 当然生産性が落ちます。
このことから、十分な睡眠時間をとることがとても重要です。 十分な睡眠時間はおおよそ成人で7ー8時間と考えられています。
BBCnews JApan How lack of sleep affects the brain より
2 適度な運動をする
適度な運動(ウォーキングやストレッチなど)をすることでストレスが解消でき、脳や体に血液が巡り、酸素供給量も増えて集中力がアップします。
特に、朝のウォーキングは朝日を浴びること、ウォーキングのリズム運動によってセロトニンホルモンが分泌され、ストレスを減らし、前向きな気持ちが高められます。
3 リラックスをする時間・休憩時間を設ける
生産性を上げるためにも適宜休憩を入れることが大切です。
こまめに休憩を取ると集中できます。 (目安は30ー60分に1回)またリラックス法として瞑想はおすすめです。
瞑想はさまざまな効果があることがわかっています。
例えば
・ストレスホルモン コルチーゾルの低下
・前向きになるホルモン セロトニンの増加
・脳内の同調性が高まり、活性化されることで創造性の増加
・集中力の向上 ・リラックス効果 などです。
もし、時間が取れない場合には「目をつぶって座って休む」だけでもリラックスします。
しかし、できれば20分の瞑想を毎日するだけでメンタルヘルスの効果があるので、お勧めします。
詳しいやり方はこちらをご覧ください。
ブログ記事:瞑想のやり方とその注意点 https://www.chiyu-uehara.com/2020/11/17/meisouyarikata/
4 長時間労働しない
長時間労働によって業務効率が落ちるという調査研究があります。
過重労働は、睡眠時間の減少につながる結果、仕事中のミスが増え、ぼんやりが増えることもつながります。
例えばノルウェーの看護師を対象にした研究において、次の勤務との間のシフト時間が11時間未満の回数が多くなると、
・不眠
・強い眠気
・過労 が増加することがわかりました。
これも私たちは経験的によくわかることだと思います。
以上のことから個人が業務改善を行うためには、まずは健康の調子を整えること、健康であれば最善のアウトプットができるようになります。
付加価値を高めるためにすべきこと
さて、一方、生産性を上げるために付加価値を高めるということを考えてみましょう。
前述でアウトプット増やすことが付加価値を高めることになると書きました。
このアウトプットは量的なことのみならず、質的なことも含みます。
それは例えばアウトプットを「売上」で考えることもできます。
つまり、アウトプット=売上としてのアウトプットを増やすためには、 質を上げるのと合わせて商品の値段を上げることも、付加価値の向上につながるのです。
では、その付加価値を上げるための施策を考えてみましょう。
1 商品・サービスの質を上げる
これはどんな場合でも常に商品の質を上げる事はとても大切です。
そのために、顧客からのフィードバックを受けあれば、 何を必要とされているのかを理解して、その都度改善していくことが欠かせません。
質を上げる努力の結果、提供価値も上がり付加価値生産性もアップできます。
2 商品の単価を上げる
商品の値段を上げると単純に売上も増えます。 これはアウトプット=売上が増えることになります。
ですから、特に最初に述べた「付加価値労働生産性」をすぐにあげたい場合には、 商品単価を上げるだけですぐに可能です。
よく価格競争は避けるべきといわれますが、その通りです。 価格競争に入ると結局疲弊して未来はありません。 ですから、いかに商品の値段を他と比べても上げていくことが大切なります。
では、その商品価値を上げる施策をご紹介します。
3 差別化をする
これが付加価値を上げる全て、と言っても過言ではありません。 他社とは比べるられない価値を提供すること、それが企業が目指す「付加価値労働生産性」の向上でしょう。
では、そのために具体的にはどのように差別化を図るのかを考えてみましょう。
デザイン:
プロダクトの場合、デザインは差別化に有効です。
コンセプト:
同類の商品であっても、販売する対象や販売する際のコンセプト(例えば見せ方や購入者の得られるもの)を変えることで差別化を図ることができます。
市場 :
これもコンセプトと似ていますが、他社とは違う市場で違うコンセプトで売るとその市場では、唯一の存在になれ付加価値を高めることができます
売り方:
例えば、今では、インターネットで保険を得るのはそう珍しくなくなりましたが、ネットライフ生命は当時、インターネットで保険を得ることのなかった業界の中で、売り方を変え成功した事例です。
売り方を外と違って、インターネットで簡単にシンプルできるようになって、値段も安くしたので開く普及しました。こんな工夫もあります。
このように、会社で労働生産性を上げるために、付加価値を高める代表的な部署としては、商品開発営業部、マーケティングなどが挙げられます。
4 カスタマイズする
個々の顧客に合わせたカスタマイズをすることで、商品価値を上げ、商品単価を上げることが可能になります。
以上のようにいわゆる企業努力と言われることすることが付加価値生産性を向上させるための施策となります。
まとめ
✔︎ 労働生産性をアップさせるのは「業務効率を上げること」と「付加価値を上げること」
✔︎ 労働生産性= アウトプット(成果)÷ インプット(労働者数✖️ 労働時間)です。
✔︎ 労働生産性の向上が求められるようになったのは労働人口減少など時代の流れによるところが大きい
✔︎ 生産性の向上によるメリットは1 売上・利益増加 2 競争力の向上 3 賃金の向上 4 労働時間の短縮 5 技術革新の促進 など多い
✔︎ 業務効率を高める方法で企業がやれることとして 業務プロセスの改善と自動化・コミュニケーションの改善:・スキルと能力の向上、外部リソースの活用などがある
✔︎ 業務効率を高める方法で個人がやれることとして1 十分な睡眠時間を確保する 2 適度な運動をする3 リラックスをする時間・休憩時間を設ける(例:瞑想)4 長時間労働しない などがある
✔︎ 付加価値を高める方法として 1 商品・サービスの質を上げる 2 商品の単価を上げる 3 差別化をする 4 カスタマイズする などがある
以上のように、生産性を上げるために必要なことを業務効率と付加価値アップの側面から考えてみました。
生産性アップというと労働時間の削減、ということだけが思い浮かびがちですが、創意工夫こそが生産性の向上につながり、仕事のやりがいともつながってくるのであると思います。
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