仕事でのウェルビーイングを向上するには?職場の環境づくり5つのポイント


最近「ウェルビーイング」という言葉をよく聞くようになりました。
「仕事や社員のウェルビーイング」とは「仕事や社員の幸せ」であり、それは大切なことであるのはわかります。
しかし、その実態が曖昧で
「仕事でのウェルビーイングとは何だろう」

「ウェルビーイングは曖昧で具体的に何をしたらいいのかわからない」


「ウェルビーイングが実現できたかを計測できるのか」

など様々な疑問があるのも事実です。
そこで、今回は実際具体的にウェルビーイングどのような状態を示すのかを明らかにし、それを実現するためにどのような環境を整えたらいいのかをご紹介します。

これで、ウェルビーイングを実感できるような職場づくりにお役立てください。


ウェルビーイングとは何か

Well-beingウェルビーイングとは、「心理的・社会的・身体的に健全であり、幸福で満足している状態、またはそのような状態に向かっていること」を意味します。

これは世界保健機関(World Health Organization: WHO)が1946年に定めた「世界保健機関憲章」の前文において、「健康」においての定義されて、引用されることが多いです。

この概念は、心理学、社会学、経済学など、多くの分野からのアプローチから構成されています。
人事経営の領域でいうと「人的資本経営」の概念の中でも職場におけるウェルビーイングの実現が「人的資本経営」を成り立たせるのに重要な項目になっています。

そこで、今回は特に職場におけるウェルビーイングを考え、それを実現するための具体的な方策を紹介したいと思います。

職場におけるウェルビーイングとは

では職場のウェルビーイングはどのようなものであるのかをみてみましょう。

職場のウェルビーイングとは「社員が働く環境や仕事スタイルなどに影響を及ぼす要因を改善し、社員の健康や快適な仕事生活を支援することを目的とする取り組み」です。

これには、例えば
・快適な労働環境の整備
・ワークライフバランスの改善
・コミュニケーションの向上
・スキルアップのためのトレーニング

・メンタルヘルス対策
などが含まれます。

これらのことを通して職場のウェルビーイングを推進することで「社員のモチベーションや生産性の向上」「組織の活性化」などが期待できます。

職場においてウェルビーイングを実現するための環境づくり

では、実際上記で挙げたような職場でのウェルビーイング実現のための具体例を挙げてみます。

 オフィス空間環境

作業環境やオフィス環境を整え、快適な労働環境を提供することで、健康な心・身体を維持することができます。そして、それが生産性を高めます。

一般社団法人日本オフィス家具協会が2017年3月に調査した結果によると、
「オフィス環境の良し悪しは、仕事の成果をあげることに影響する」との問いに、64.8%が「そう思う・ややそう思う」と回答しました。
他にも「オフィス環境の良し悪しは、仕事に対するモチベーションに影響する」との問いに71.4%が「そう思う・ややそう思う」と回答しています。


つまり、やはりオフィス環境は成果やモチベーションに影響するということがわかります。
では、具体的にどのようなオフィス空間が快適で生産性が上がるのでしょうか。

先の日本オフィス家具協会の調査によると、従業員がオフィス環境に求める快適さには下記のようなポイントを求めているとなっています。

  • 気軽にコミュニケーションができるように工夫されていること
  • 集中して仕事ができるように工夫されていること
  • 会議やミーティングができるスペースが確保されていること
  • 心身をリフレッシュできる空間が用意されていること
  • 自分の身体に合ったデスクやチェアが用意されていること

    上記を踏まえるとポイントは2つです。
    1 ある程度の余白があるレイアウト
    2 リフレッシュ スペース


    1 ある程度の余白があるレイアウト
    これは集中して業務に取り組めるように、ある程度のそれぞれのスペースが確保されている必要があります。そのためには、みんなでミーティングするスペースなどは、個別のスペースとは別に必要になります。

    ある程度の余白とはそのような意味で、逆にスペースがありすぎると集中できないそうです。

    また、レイアウトは隣同士は仕切られているが、すぐにコミュニケーションができる距離というのが理想でしょう。

2 リフレッシュ スペース
社内で気軽にリフレッシュできる空間があればリフレッシュできる空間があれば、社員同士でコミュニケーションがとれ、社内で活気が生まれます。
理想はちょっと短い昼寝ができたり、静かな横になれるスペースがある休憩室などがあることです。
なぜなら日中の10-20分くらいの昼寝はリフレッシュでき、生産性が上がることが調査でもわかっています。

2 コミュニケーション環境

上司や同僚とのコミュニケーションを通じて、職場の雰囲気を改善し、より協力的な職場環境を作ります。
コミュニケーションを土台にした人間関係は仕事へのモチベーションに直接響いてきます。

よりよい人間関係を築くためのコミュニケーションは意識しておこなっていかなければなりません。

そのためには
・安心して話し合いや相談ができる人間関係があること
・コミュニケーションをとる時間的余裕があること
・自分の伝えたいことが正確に伝わること
・よりよいコミュニケーションにするためのスキル向上

などが考えられます。

このために、
・1on1ミーティングの実施
・会議の効率化
・休憩時間をしっかり確保(雑談時間にもなる)
・コミュニケーションスキル向上のための研修導入
・報連相の徹底

などがコミュニケーション環境をより良くする方策として考えられます。

また、飲みニケーションですが実はこれも楽しいもの、リラックスできるものであればコミュニケーション効果があると思います。

そのためには、例えば誰かが不快な思いや面倒な思いをしない場にしなければなりません。
ですから、特に管理職のその場を和ませる、楽しませるコミュニケーション力は大変重要になってくると思います。
そういうと
「せっかくの飲み会なのに気を遣うことは面倒だ・・・」と思ってしまうかもしれませんが、これはコミュニケーション力を高めればそれほど負担ではなくなります。


職場でのウェルビーイングにはコミュニケーション環境は重要な要素ですから、まずは管理職のコミュニケーション力アップからその環境づくりをしていくのが有効です。

3 健康生活のための環境

社員一人一人の体と心の健康状態を抜きにはウェルビーイングは語れません。
心と体の健康は直接幸福度とウェルビーイングと関係があります。
そのような理由から企業は昨今「健康経営」といった社員の健康面のサポート管理も求められています。
この健康環境の整備により得られるメリットとしては
・生活習慣病の予防
・メンタルヘルス対策
・仕事へのモチベーションアップ
・休職者や離職者を減らす

などがあります。
これらのメリットはごく一部であり、何事も健康であることが前提であり、仕事も人生もその質を決めるといっても過言ではありません。
では、社員が取り組める健康増進のための具体的な方法をご紹介します。

瞑 想

瞑想の効果

瞑想をすると幸福感を実感しやすくまたウェルビーイングと結びつくような効果が実証されています。
・ストレスホルモンコルチゾールの低下
・前向きな気持ちになるセロトニンの増加
・不安の解消
・イライラの軽減
・記憶力の向上
・創造力の向上
 など

瞑想の種類

瞑想には様々な方法があります。
1.呼吸瞑想: 呼吸に集中していくやり方です。
2.マントラ瞑想: マントラ(真言)を唱えながら自分自身の内側に向かって深く入ることを目的とします。
3.マインドフルネス瞑想: 現在の状況に注意を向け、意識を高めます。
4.身体スキャニング瞑想: 身体をスキャンし、筋肉の緊張や疲れを取り除きます。
5.瞑想のウォーク: 歩きながら瞑想をすることができます。
詳しい瞑想の効果とやり方についてはこちらから
 ↓↓↓  
ブログ記事:瞑想のやり方とその注意点

ウォーキング

ウォーキングで「イチ・ニ・イチ・ニ」と歩くリズム運動によって幸せホルモンといわれるセロトニンが分泌されます。誰でもできる健康法なのでおすすめです。

ウォーキングの効果

・心肺機能の向上
・基礎代謝アップ
・血流促進
・新陳代謝アップ
・生活習慣病予防

など多くあります。

ウォーキングやり方

運動不足も解決されるので、朝ひと駅だけ歩いてみるというのは、大変お勧めです。
さらに、冒頭に書いたように、ただ駅に向かうのではなく、朝の清々しい空気を感じたり、緑を感じたり、太陽を感じたり、気持ちいいなと思うことで、セロトニンは分泌されます。
ですから毎朝感じながら歩くと、より幸せを感じることができます。
また、運動量を増やすというのであれば
・歩幅を大きく(身長−100センチ)
・早足(時速6キロ)くらい
・毎日20分くらい
がおすすめです。スマートフォンで万歩計アプリがたくさんあるので使用するとよいでしょう。

スタンディング デスク

日本人のビジネスパーソンは世界でも最も座っている時間が長いという調査があります。
そして座りっぱなしは、寿命を縮めるくらい体に悪いそうです。
1日8時間以上座っている人は、3時間未満の人と比べて、死亡リスクが1.2倍になるという研究結果もあります。 
そこで、おすすめがスタンディングデスクです。名前の通り立って使える机のことです。

スタンディンデスクの効果

・集中力の向上
・姿勢が良くなる
・肩こり、首こりの解消
・血行を促し、健康を増進

と明かに座りっぱなしより、健康には良いです。

やり方

ただ、スタンディングデスクを使えばいいのですが、特に使い始めたばかりの頃はふくらはぎや踵が痛くなります。
1時間も立っていられないので、まめに立つ、座るを繰り返すことになります。
そして、靴も歩きやすい靴が立っていられる靴になります。革靴やヒールなどは運動靴に履き替えたほうがいいでしょう。

4 ライフワークバランスの仕事環境 

仕事でウェルビーイングを感じるために、仕事とプライベートのバランスを取ることで、ストレスを減らし、より良い生活のクオリティを実現することができます。これは具体的には労働時間と労働量のことです。なぜなら物理的な時間や労働量は心の余裕と結びついているからです。

ライフワークバランスの効果

ライフワークバランスの中でも長時間労働による弊害を取り上げたいと思います。
長時間労働によって業務効率が落ちるという調査研究があります。
過重労働は、睡眠時間の減少につながる結果、仕事中のミスが増え、ぼんやりが増えることもつながります。
例えばノルウェーの看護師を対象にした研究において、金と次の勤務との間のシフト時間が11時間未満となる回数が多くなると、
・不眠
・強い眠気
・過労 が増加することがわかりました。
これも私たちは経験的によくわかることだと思います。

また、人が集中できる時間は短く、1週間で最も生産性の高い労働時間は30時間弱ともいわれています。
それに対して、現状は平均労働時約間45時間と出ており、実際日本の労働生産性は世界ランキングで27位、先進国の中ではかなり低くなっています。

労働時間に関しては個人の努力だけでは変えられないものです。
企業の取り組みとして、いかに労働生産性を上げて、結果ライフワークバランスを保てるかが重要です。

参照:ブログ記事 労働生産性を向上させる業務効率と付加価値アップの具体的方法とは

5 キャリア環境

仕事でウェルビーイングを実現するためには、長期的な目標もとても大事です。
なぜなら、私たちは仕事で何か困難に直面した時に「何のために、私はこの仕事をしているのだろう?」と感じてしまうことがあるからです。
その時に長期的な目的があれば「〇〇目指すプロセスなのでここは頑張ろう」と乗り越えることができます。
ここでいう長期な目的とはキャリア形成のことです。
人はキャリアが積み上がっている、という実感があれば仕事上の困難も乗り越え、仕事を続けていこうと思えます。

企業におけるキャリア環境とは

企業で社員のキャリア教育については以下のような事柄が考えられます。

  1. 継続的なトレーニングプログラム・セミナー:
    社内トレーニングプログラムや外部の専門的なトレーニング機関と提携し、従業員のスキルや知識を向上させるための継続的なトレーニングプログラムを提供する。
  2. マネジメントスキルの開発:
    リーダーシップやチームマネジメントなどのマネジメントスキルの開発プログラムを実施する。従業員が効果的なリーダーシップを発揮できるよう支援する。
  3. キャリア開発プラン:
    個々の従業員とのキャリア開発プランを策定し、長期的なキャリア目標をサポートする。キャリアパスやスキルの強化に関する目標を明確にし、個々の従業員の成長を支援する。これらのプランについて、上司や人事部と相談の機会を作る。
  4. リスキリングの機会提供:
    学ぶ機会の提供をする。例えば、オンラインプラットフォームや内部の学習ポータルを活用して、従業員に学習リソースを提供する。eラーニングコースや動画チュートリアル、専門書籍などの資料を提供し、自己学習を促進する。
  5. 業務フィードバックと評価:
    定期的な業務評価やフィードバックセッションを通じて、従業員の成果を評価し、強化点や成長の機会を特定する。具体的な目標を設定し、進捗をモニタリングすることで、従業員は自己啓発に向けた意欲を高める。これを1on1ミーティングなどの機会を設けて実施する。
  6. ローテーションや異動の機会:
    従業員のキャリアパスを豊かにするために、異なる部門やプロジェクトへのローテーションや異動の機会を提供する。これにより、従業員は異なる業務や環境での経験を積むことができ、多角的な視点やスキルを身につけることができる。

ウェルビーイングの定量測定の例

では、次にウェルビーイングの実践を行なっても、なかなかその効果を測定できない感じがしますが定量化するにはどのような方法があるかを挙げてみました。

  • 社員アンケート:社員が働く環境や仕事スタイルなどに対する意見を調査することで、職場のウェルビーイングの現状を把握することができます。
  • ストレスチェック:社員のストレスレベルを測定することで、仕事や生活から引き起こされるストレスを把握することができます。
  • 健康診断:社員の健康状態を評価することで、仕事や生活に影響を及ぼす要因を把握することができます。
  • 生産性評価:社員の仕事生産性を評価することで、仕事に対するモチベーションや環境などの影響を把握することができます。
    その他、計測方法としては「幸福度診断」「ポジティブ心理学の5つの指標」あります。

このように職場のウェルビーイングを定量的に評価することで、現状を正確に把握することができ、改善点を明確にすることができます。
また、改善結果も定量的な測定方法を用いて評価することで、効果を確認することができます。

まとめ

以上です。
「ウェルビーイングって何から始めたいいのかわからない・・・」と感じていたら、少しでもイメージ持っていただけると嬉しいです。
ぜひ、会社のウェルビーイングの第一歩を踏み出してみましょう!




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ABOUTこの記事をかいた人

日本一わかりやすい瞑想・コミュニケーションセミナー講師。小学生・大学生、社会人、外国人に約5000人以上、のべ1万時間の授業・セミナーを行ってきた。元早稲田大学非常勤講師。ビジネスパーソン向けのメンタルヘルス・ウェルビーイングのための瞑想セミナー、コミュニケーションセミナーを実施中。セミナー・講演・取材お問い合わせはサイトから