瞑想をすると眠くなるのはなぜか?:シータ波のヒミツを解説

瞑想中に眠くなるのはフツーです

「瞑想していると寝てしまうんです・・・」
「寝てしまわないか、心配です」

これは瞑想セミナーでよくいただく質問です。結論から言うと、

瞑想中眠たくなるのはごくごく自然の現象です。ですからOK!」です。

私の瞑想セミナーでも、まぁ多くの方々が瞑想中「あー、遠くに行ってきた〜」とおっしゃいます。 笑

この瞑想中の「まどろみ」状態。実はシータ波という脳波が(特に前頭葉あたりから)出ているんだそうです。

そんな瞑想状態に入ると出てくるシータ波についての本についての本を紹介します。

シータ脳を作る 人生を成功に導く脳波の出し方 久恒 辰博著

久恒 辰博さんは、神経再生が専門の研究者です。脳についての著作がいろいろあるようです。

シータ波とは

そもそも脳波なのですが、様々な脳の状態に応じて、微弱な電気が出ているのです。
それを脳の各部所に計測器をつけて測ります。

これでCT・MRIで測れない脳の状態を測定するのです。

脳波でよく知られているのが、アルファー波とかベータ波ではないでしょうか。

よく「アルファー波が出るようになるCD」などがありますよね。

アルファー波とは、リラックス時にでる脳波です。
そして、ベータ波は覚醒時にでる脳波です。
これはヘルツという脳波の周波数によって、どれなのか決まってきます。

ちなみに、熟睡時はデルタ波という脳波で、このシータ波はまどろみ時にでる脳波です。

しかし、この本でとりあげているシータ波は、まどろみのシータ波に混じって、ガンマ波という興奮時に発生する脳波も混ざっている脳波(シータ・オシレーション)を言っています。

まどろみと興奮・・・ってまるで正反対ですが、実はこれが「集中している状態」の脳波なんだそうです。

これって振り返ってみるとわかりますよね。

集中しているときって、確かに「まどろんでいるくらい『無』な感じ」と同時に「すごい覚醒している感じ」ではないでしょうか。

これが本著でシータ波の状態といっています。

面白いですね。

シータ波の状態とは

そして、このシータ波の状態って、人間にとってめちゃくちゃ良いみたいです!

1 集中している状態
まず、先にも書いたように「集中している」状態です。
当然ですが、集中することでパフォーマンスが上がります。
また、集中した後の充実感はなんとも言えませんよね。
つまり、集中すると幸福感は上がるんです。

それくらい、今ここに集中することは人にとってとても大事です。

 

2 意欲が高まっている状態


次に、

「シータ脳をつくる」より欲しいものや目標に向かって努力している時には、脳の中ではシータ波が出ています。しかし、欲しいものが手に入ると、今度はシータ波が消えてしまうのです。

意欲とも関係あるのですね。
これも実感としてわかります。
例えば、旅行は行く時より、行く前に色々調べて計画を立てている時が一番楽しかったりします。

夢も、実は達成した時より「こうなりたい」と思っている時がわくわくします。

そんなときシータ波が出ているんですね。

3 創造性を発揮するとき

「シータ脳をつくる」より シータ波はやる気を高めるだけでなく、新たなアイディアを考えるなどの創造的な活動にも有効なのです

未知の体験をしたとき、アセチルコリンという物質が大量に生み出されるのだそうです。
そして、これがシータ波を生み出す必須の物質です。

何か、新しいアイディアが生まれる、という体験をするときアセチルコリンが出て、シータ波が高まる、そんな流れです。
これは、直感などもそうです。

直感を思いつくまでのもやもやした感じのときに、実はシータ波が駆け巡っているのだそうです。

本著には、そのほかたくさんの具体的なシータ波がでる行動が紹介されています。

上記の3つだけでも、そうとうシータ波の効果はあることがわかります。

瞑想とシータ波

最後に瞑想とシータ波との関係です。

瞑想では、リラックスのアルファー波がでるのはもちろんなのですが、まどろみと覚醒のシータ波が出ることが研究でわかっています。

論文:Increased theta and alpha EEG activity during non directive meditation
オーストラリア ロイヤル ノースショア病院 ジムラゴポウラス 他の研究によると

実験概要:
対象:30分の瞑想を1日2回行っている13人の28ー63歳の男女
過去5年間には少なくとも3週間のリトリートを行っている

方法:
1 20分 瞑想を行なっている状態 (椅子に座って、目をつぶって、非指示的な瞑想方法をする)

2 ただ静かに座っている状態(目をつぶって、瞑想テックニックなしに、静かに座っている)の間に15分間の休憩をいれる

結果:
・非指示的な瞑想はただ静かに休む、あるいはマインドフルネスや集中力のトレーニングより、シータ波とアルファ波がよく出た。

・シータ波は瞑想実施の結果脳全体で増加した。

・前頭部 側頭部 は後頭部に比べてシータ波の増加が著しかった。

簡単にまとめるとこんな概要でした。
つまり瞑想をするとシータ波が出やすいということですね。

瞑想をするといろいろな効果があることがわかっているのですが、集中力、意欲、創造性のシータ波が出ることがわかると様々な効果が納得ですね。

特に瞑想熟練者はシータ波が出やすいようです。
以前、NHKのためしてガッテンでも瞑想熟練者の瞑想中は、同様の実験の結果が出ていました。

シータ波の出る生活

本著の中にもシータ波が出る生活として

・散歩

・恋愛

・モーツアルトの音楽を聴く

・焼肉(これは著者の考えでもありますが・・・)

などをあげています。

しかし、これはまだ研究調査が出ている内容ではないので、研究でも効果が実証されている瞑想はおすすめです。

ということでシータ波は、あまりなじみがない脳波ではありますが、かなり私たちの活動には影響があるもののようです。

そして、「瞑想をすると眠たくなってしまう」という現象は実はシータ波が出ている可能性が高い。
熟睡ではない、起きているような、夢を見ているような状態ですね。

瞑想中こんな状態になったら「ああ、シータ波が出ているんだ」と思って喜んでくださいね

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

日本一わかりやすい瞑想・コミュニケーションセミナー講師。小学生・大学生、社会人、外国人に約5000人以上、のべ1万時間の授業・セミナーを行ってきた。元早稲田大学非常勤講師。ビジネスパーソン向けのメンタルヘルス・ウェルビーイングのための瞑想セミナー、コミュニケーションセミナーを実施中。セミナー・講演・取材お問い合わせはサイトから