日本全体の少子高齢化の影響と地域コミュニティの喪失で、今や地域活性化などというのは夢のまた夢のようになっているのが現実です。
しかし、私たちの心の中には「地域活性化」なんていうのは「地方自治体・行政」がやるもの、誰かがやってくれるものと思っているふしがある気がします。
地域の活性化は誰がやるのか?
それは行政・地方自治体なんかではない。
それはもちろん「地域の人々」です。
そんなことを体現しているのが、九十九里浜にある大網町の大里綜合管理株式会社です。
*これは大里綜合管理株式会社から学ぼう、と研修でに訪れていたJA岐阜の方々と社長とフェスティバル出演者(メイクした人)と記念撮影。大里綜合管理には全国の団体、会社が研修に来てます。
そんな素晴らしい会社と私との出会いは、野老(ところ)社長の講演をお聞きしたことからでした・・・・
大里綜合管理株式会社は不動産管理の会社です。
ただし、普段の活動の6割は業務、4割は地域活動を行なっています。
・気づくトレーニングになるための清掃活動。
1日に、なんと2回、拭き掃除の時間があります。
そして、現在では350にも及ぶ地域活動。
それは、
・朝6:30から始める大網駅公衆トイレの掃除。
・「大網駅を花いっぱいにする会」の花植えの活動。
・地域の人たちとする50キロや100キロウオーク。
そして、
・200回以上にも及ぶ東日本震災へのボランティア活動。
と本当にすごい数に及びます。
しかも、もう10年以上にもなる活動もあります。
ちなみに野老社長は、そのようなお仕事や地域活動の功績から国から表彰されたり、テレビ東京のカンブリア宮殿にも出演されたました。
私はそのお話を聞いて、本当に感動し、その感想をお伝えしたところからご縁ができました。
そして、野老社長から直接「会社のフェスティバルをするから、来ませんか」とお誘いをいただいたのです。
野老社長から直接お電話!!それは本当に驚きました。
そして、社長からお電話いただいたからには、もちろん行くしかありません。
・・・と、本当にワクワクしながら
「いざ、九十九里浜、大網町へ」と訪問することになりました。
最初、勝手に「外房線で行く大網町は遠そう」という思い込みがあったのですが、東京駅から1時間あまりの大網町は意外と近いと感じました。
そして、そこから大里綜合管理株式会社へ向かいます。
私はその際、大里綜合管理株式会社が掃除をしている駅の公衆トイレをのぞいてから、会社に向かいました。
トイレはやはり本当に清潔でした。
また、その駅にはパンジーの花々が咲いています。
これも大里綜合管理株式会社の活動の1つです。
やはり、こんなふうにお花があると、ホッとしますよね。
後から聞いたのですが、このお花を植えるのに雑草を抜くところから始まり、土を掘り起こし、一区画1時間半くらいかかるそうです。
だからこれだけ全部するのに、どれほどの労力がかかったことか・・・と
本当に頭が下がりますね。
大網駅から15分くらい歩いた所に、大里綜合管理株式会社があります。
ちょっとログハウス風の大きな社屋は、すぐわかります。
そして、私がお伺いしたのは「大里フェスティバル」の日。
1月の3連休に地域の方々が
・ハープとクラリネット演奏
・大里合唱団
・詩吟
・フラダンス
・エイサー
そして、有名な著者の小宮一慶さんの公演。
・・・と3日間続く地域の文化祭です。
どうでしょう?この充実ぶり。
しかも、500円とか1500円で見ることができるのです。
出演する人、見る人心から楽しんでいます。
人はこうして、人に自分の練習の成果を見せて拍手をもらえるとそれは嬉しいものですよね。
心からイキイキしているのが伝わってきます。
しかも、ひじょうに社会的貢献の意義も大きい。例えばこのエイサーを踊っているのは「千葉ダルク」といって元薬物依存者が依存症から抜け出るための施設があり、その施設で更生教育の一環として行われているのが、エイサーなのです。
*一緒にエイサーを踊る観客。
それを発表をしていました。
この「大里フェスティバル」そして大里綜合管理株式会社は、そんなありとあらゆる人たちを受け入れる寛容さがあります。
その大らかさを感じたのが、そのエイサーを踊っているメンバーが発表の際に、このエイサーの踊りや施設の説明をしました。
その中で「千葉ダルクの卒業生が、こちらの大里綜合管理で仕事をさせてもらい、お世話になりましたが・・・すぐ辞めてしまって、なかなか続かなくて、ご迷惑かけて、すみません(笑)」
というと、野老社長が私の隣で「ほんとー」と言いながら、めちゃくちゃ大笑いして、ウケてた・・・。
なんとも大らかなのです。
また、地域の大きな受け皿になっていると感じたのは、例えばド派手な赤いジャンパーを着ていたおじさんが
「今日は朝からここにいるよー」と言いながら、楽しそうにズーーっと発表を見ているのです。
ここにいわゆる「孤独死」なんてものはないなー、そんなふうに感じさせるコミュニティーの場になっています。
これらの地域活動を見ていると、たいていは役所とか公民館でやっているようなことばかりですよね。
それを一企業がやっているのだから、そこが驚き!なのです。
しかし、考えてみると、行政がこういうことをやると、公的機関がゆえにいろいろな規制があります。
あっちに許可取り、こっちに許可取り・・・と時間がかかって仕方ありません。
また、こんなに100人などという集客はできません。
そして、こんなに生き生きとできるものだろうか?とも思います。
本当に主催者側の大里綜合管理の方々も参加者もみんなとにかく楽しそうなのです。
そして、活動すればするほど主催者もお客様も境がなくなって、一体になってくるんです。
野老社長は、「とにかくここではみんなありのままでいられる、自然なの」とおっしゃっていました。
本当にそうなんですよ!
「ああ、人が社会の中で暮らすって本当はこんなふうに生き生きしているもんだよなー」とつくづく感じました。
また、はたから見ると社員さんは休日もこのようなフェスティバルで出勤。
朝6:30から、駅のトイレ掃除・・・
大変そう・・・という感じがするかもしれません。
しかし、そういった地域活動はめちゃくちゃ「気づき」と「気配り」のトレーニングになっているんです!
お茶の出し方一つ見ても、本当に高級ホテル以上の気遣いです。
何も言わなくても、とにかくこちらが何も言わなくても自然と体が動くかのように、気を使えるようになっているのです。
「これだったら、どんなサービス業でも立派にできそう・・・」と、すごいホスピタリティなんです。
つまり、地域活動自体が社員さんたちのトレーニングになっているのです。
私はその日の夜、社長や社員さんたちと夕飯を食べた後、会社の施設でもある、宿泊所に泊まりました。
そこはどこかの大学の元学生寮だったらしいです。3500円くらいで泊まれます。
次の日の朝、「日本一と言われている、朝礼を見てみたい」という私の願いに応えてくれて朝礼に参加させてもらいました。
ラジオ体操と社是の唱和に始まり、歌、そして、その日はお経を歌にして唱和、その日によって憲法とか色々あるそうです。
ラジオ体操も一つ一つ丁寧にやります。あんなにラジオ体操真剣にやったのは初めてです。
とにかく、掃除も歌も体操も本当に丁寧です。
そして、最後にみんなで円陣を組んで気合を入れます。
「日本一の朝礼」に納得。
こういうことを体験させてもらうと、
人間って朝からこんなふうに健康で、気持ちよく活動するものだったんだよね。
みんなで声を合わせるって、気持ちを合わせることだよね、って本来のあるべき姿を思い出します。
これだけ気持ちよく仕事を始めると自然と朝日に「お天道様、今日もありがとうございます」と言いたくなります。
「ああ、これが自然なんだな」と。
これだけ元気に気持ちよく仕事を始める会社がどれだけあるんでしょうか。
そこいるみなさんの姿を見ながら、しみじみと感じました。
そして、大里綜合管理では合唱団があります。(歌のレベルは相当高い!第九もアカペラで歌う!)
そして、これを「私たち、地域の歌にしよう」と決めた曲が「九十九里の歌」だそうです。
その歌詞の最後には「九十九里 我が故郷 ?」というフレーズがあります。
まさに、この大里綜合管理での地域活動や交流の経験が、この地域の人たちにとって「我が故郷」そのものになるのでしょうね。
地域を作るのは「地域の人」であり、「人」が「地域」を作る、そんな「地域活性化の本質」がここにはありました。
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