人生観が変わる出会い:障害のある子供たちに教えてもらった2つのこと

予期せぬ出会いで人生って変わる

これまで「こういうもんだ」って思っていた価値観や人生観が変わったってことはありますか?

そういうのをパラダイムシフトとか言ったりしますね。

 

 

まぁ、人間30年、40年生きていたら1、2度ありそうですね。
私にとっては大きくは2つ、1つは社会人になったばかりの頃、東京都内の小学校の知的障害のクラスで出会った子供達との出会い。
もう1つはこれまで海外の数カ国(イギリス、イタリア、スペイン、ニュージーランド)に住んだことがありますが、そこで出会った外国人達との出会いです。

 

 

 

人との出会いで人生観って一気に変わったります。

 

今回はそんな出会いの1つ「障害を持った子供達から影響を受けたこと」を紹介したいと思います。

 

 

なーーんだ、結局同じじゃん。

もともと小学校の教員になりたかった私でしたが、教員採用試験に落ちたので非常勤のアルバイトで特別学級と言われる知的障害の子供たちのクラスでお手伝いをすることになりました。

 

 

結局試験に受かるまで2年間やらせてもらいました。

 

 

 

 

教育の中でも「障害児教育」というジャンルがあって、専門の教育内容があるのですが、私は学生時代はあまり興味がなく障害児教育も希望はしていませんでした。

 

 

 

非常勤をすると決まった時には、ほとんど障害児と接したことがなかった私は、本当に正直「障害ある人って大丈夫なのかなー」とか。

 

とっても失礼なことに「怖いなー」とか、かなりの偏見を持っていました。

 

 

 

知らないとは恐ろしいことです。。。。

 

 

 

そして、実際仕事が始まり、そんな子供達と毎日接するようになると、障害があるといっても基本は普通の人と同じ、ってことを実感する日々でした。

 

 

例えば、障害がある子は奇声を発したり、パニックを起こすことがたまにあります。

 

 

 

これは、よーーーーーく観察してみると「何かこれまでにない、新しい経験をする時」なんですね。
これまで経験したことのないことなので、どう反応、適応したらいいのかわからずパニックになってしまうのです。

 

 

 

これは私たちだって同じです。
初めての経験では誰でもドキドキして、どうしていいのかわからなくなってしまうのもの。

 

 

 

それが彼らの場合、大げさに出てしまうのです。
普通は子供も年を重ねるとパニックまではならなくなります。

 

 

でも、障害を持った子供はそのパニック状態が大きくなっても続いたりします。

 

 

 

だから、年齢不相応に大きな体で奇声を発したりして、周りから見ていると「奇異」に映ってしまうのです。
ちょっと、普通より時間がかかるんです。

 

 

 

ものすごくゆっくり成長していくだけなんです。

 

 

また、自分の思い通りにならなかった時も、障害のない子だったら4、5歳で駄々こねるのが終わるところを障害のある子は高校生くらいになっても続いてしまいます。

 

 

 

 

でも、そういう子もゆっくり、ゆっくり根気強く教育していけば必ず落ち着けます。

 

 

 

逆に甘やかしたり、何もしなかったらずっと、大人になってもそのままです。奇声を発し続けます。

 

 

 

だから、小さい頃から普通の子と比べて繰り返し、繰り返し教育していくことが大事なんですね。

で、要するに普通の子供との違いは

「時間がかかる」っていうのと、「ちょっとこだわりが強い」ってことくらいです。

 

あとは、み〜んな同じ。

子供が持っている、好奇心。素直さ。ずる賢さ。純粋さ。飽きっぽいところ。なんでもすぐ忘れるところ。
全て持っています。
私は毎日楽しく、彼らと笑いながら過ごしました。

 

彼らも私たちが不安になるのやイライラするのと同じ原因でそうなるだけです。

同じなんです。

 

 

ゆっくりだけどコミュニケーションも取れます。

理解もできます。

 

例えば結構、オウム返しが多いのは確かです。

 

「ねえ、昨日のお休みは何やったの?」と聞くと

「何やったの?」とオウム返ししてきます。

 

オウム返しの時には、例えば
「昨日は買い物行った?それとも公園に行ったの?」とヒントなどをあげると、
「買い物行った」みたいにちゃんと返事も返ってきます。

 

まぁ、彼らと1日中接していて
「次どうするの?」と聞くと
「次どうするの」と返事

 

「これ好きなの?」と聞くと
「これ好きなの」と返事

 

 

と何話してもオウム返しの千本ノックが返って来るときは正直、
「ああ、せめてちょっと返事が返ってくる会話がしたい・・・」とか思いましたが・・・・
でも、何もできない、わけわからないっていうことは決してありません。

 

 

まぁ、むしろ知恵はちゃんと働きます。
嫌な時にはオウム返しして誤魔化すとか・・・。笑

 

 

ちゃんとそうやって生きる知恵はあった。

 

 

要するに私たちと同じです。

 

 

 

彼らと出会うまでは私は障害を持った人を「怖い」と思っていたくらいでしたから、「なんだ全然同じじゃん」って実感した時には本当に目からウロコでした。

 

パラダイムシフトってやつです。

ちょっと違う生き物って思っていたくらいなのに、お互い通じ合うわけですから・・・・

 

そして、もっと目からウロコだったのが彼らから教わったことです。。。

 

案外、私たちの方が不自由なのかも・・・

この障害児のクラスでの教育は本当に手厚いです。
なんせ、一斉授業が無理なんで、本当にひとりひとりに合わせた授業をします。

 

 

 

通知表なんかも国語、算数、生活・・・学期を振り返って全て記述して、細かく文章で書くんです。
通常の通知表の「できる」「普通」「がんばろう」に○がついているのとは大違い。

 

 

 

ものすごい労力がかかっているんです。それも私にとっては驚きでした。。。。

 

 

 

そして、いよいよ、通知表を渡す段階になって、教室で担任の先生から通知表を渡されたんです。

 

 

 

後々、私は小学校の教員になって何百人の通知表を作って渡してきましたが、ちょうど表彰状を渡すようにして手渡しますよね。
子供であっても、それなりにちゃんと価値あるものとしてペコリとお辞儀をしてもらってました。
私が小学生の頃もそうでした。

 

 

 

ところが・・・・
障害を持った子たちは、あんなに労力をかけて作った通知表をどーでもいい紙にしか思えないんでしょうね。

横向いて、手だけ差し出してもらったり、もらっても中身なんか見やしません。露骨なくらい興味ない。

 

 

 

また、通知表をもらって床に落としても、そのままでボッーーーーーとしていたり・・・
「○○ちゃん、せめて拾えばーーーー」とか言ってました。

 

 

 

で、彼らがその通知表をもらっている場面を見て、私はふと思ったんです。

もしかしたら、通知表をすごい価値あるって感じる私たちが違うのかも・・・・って。

 

 

 

 

よく考えたら、本当彼らの方が正しくって、通知表ってただの紙なんですよね。
ちなみに、お金も同じ、ただの紙。

 

 

 

そんな紙にこだわったり、下手すると自分の人格がそんな紙で決まってしまう、って信じている私たちが違うんじゃないか。

常識とか他人が言っている価値観を教え込まれているだけ。

 

 

あんがい障害のない私たちの方が色々なことにとらわれて、不自由なのかもしれません。

 

 

 

そんなふうに思えてきた、そして気付かされた出来事でした。
彼らに出会わなければ、そんなことには気づかなかったと思います。

 

 

 

彼らの多くは、特に自閉傾向が強い子は、1日中ずーーーーっと、空を眺めたりしています。

 

 

だから10分で家まで帰れるのに、帰り道30分とか1時間かけて、あっちでボーーーーーーっと、こっちでボーーーーーッとして帰ったりします。

 

 

 

それだけ見ると、全然合理的、効率的ではないんですが、でも、それは私たちの思い込みであって、本人がやりたければいいじゃん、って感じのことなんですよ。

 

 

本当にそれはその人の個性だし、その人の世界観なんですね。

 

 

その人の個性を生きることが、その人の人生を生きるってことだと思います。
そういう意味では、障害を持った子はとても濃く自分の人生を生きています。常識にとらわれず、人の目にとらわれずに。

 

 

 

そんなことを気づかせてくれた子どもたちでした。
そうして、私の世界を広げてくれたのです。

 

 

 

「自分が幸せって感じることをまずはするもんだ。それが人間だ。」って。

 

 

 

彼らは私に何か教えるつもりもないのに、とても意味のあることを教えてくれました。
20年以上経った今でも言葉以上に彼らのあり方が鮮明に私の心に残っています。

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ABOUTこの記事をかいた人

日本一わかりやすい瞑想・コミュニケーションセミナー講師。小学生・大学生、社会人、外国人に約5000人以上、のべ1万時間の授業・セミナーを行ってきた。元早稲田大学非常勤講師。ビジネスパーソン向けのメンタルヘルス・ウェルビーイングのための瞑想セミナー、コミュニケーションセミナーを実施中。セミナー・講演・取材お問い合わせはサイトから